痛いと叫び続けるとそれにも飽きてくる
「鎮痛剤は上限まで使い切りましたが、焼かれるような痛みで、下着もはけない状態なんてことも。痛いときは、思いっきり叫んで我慢しないようにしていました。ただ抗がん剤の副作用が想像以上にキツく、お腹をすぐ下し、トイレが近くなるので、外出中は不安と常に隣り合わせでした」
しかし、少しでも気分よく過ごせるように、脱毛した頭にターバンを巻いて通院のおしゃれを楽しみ、食べたいものがあれば少しだけでも口にするようにしていた。
「焼き肉を食べたいときは、1枚しか食べられなくても食べます。後でお腹が痛くなったとしても、自分の小さな願いや思いを置き去りにしないようにしています」
子育てについて発信していたSNSで、自らのがんと、闘病についても包み隠さず公表している。
「SNSを通してポジティブに感じてくれる人も多いのですが、私自身は全然ポジティブじゃないんです。ただ、落ち込んだら、とことん落ち込んでいいと思っています。叫んで弱音を吐き、自分の心をそのまま出すこと。でも『痛い、痛い』とずっと言い続けていても、だんだん叫ぶのにも飽きてくるんです。そうすると、『自分はどうしたい? 次にどうする?』ということも見えてくるんですよ」
シャナさんは自身を“ネガティブ”と言うが、その言葉には、熱いエネルギーが満ちている。
「息子は私の病気を完全に理解していませんが、好きなアニメの『手術をする』というシーンを覚えていて、なぐさめてくれようとしたりもします。ジブリやディズニーのDVDは擦り切れるほど見ていて、それらのシーンを重ね合わせ、物事を息子なりに理解して楽しんでいます」
シャナさんの闘病の日々はまだ続く。目下の目標は、今年11月に計画している、23歳の娘との旅行だ。
「娘は障害のある弟がいる、いわゆる“きょうだい児”です。ですが、我慢や孤独感を与えないように必死に接してきたつもり。それでも不十分だったと思います。娘との時間をもっと持ちたいと思っていた矢先の、がん告知でもあったので。娘もディズニーが好きで、ラプンツェルの映画のシーンにあった、ランタンが宙に舞う、タイの『コムローイ祭り』に必ず行こうと約束しています。息子につきっきりで、十分な時間を娘に取ってあげられなかったから、今はランチを一緒にする時間も大切にしていきたいですね」
どんなときでも、人生を楽しみ、その瞬間の喜怒哀楽を大切にするシャナさん。彼女の生きる姿勢に触れ、「今、日々を後悔なく過ごせているのか」と、自分自身に問いかけてみたくなる。
取材・文/小林賢恵

















