子どもたちが生きるハードな現実
2010年から続く保守党政権による緊縮財政で、イギリスは格差や貧困の拡大が問題となっている。子どもたちが生きるハードな現実にブレイディさんは怒りを隠さない。
「お金がある人はいくらでもいい教育を受けさせられるけど、ない人は公立校。本来、福祉が担わなければならない仕事も学校の教師がやって現場は疲弊している。
今年出た調査結果がガーディアン紙に出ていたんですけど、イギリスでは3人に1人の子どもが相対的貧困だと。とんでもない話ですよね。前まで5人に1人とか言ってて。ついに3人に1人ってことは、3人子どもがいたら1人は貧困ってことじゃないですか。
これ、むちゃくちゃですよ。これが10年後20年後にイギリスにどんな影響を与えるかってことですよね」
子どもを取り巻く現実は日本もハードだ。でも、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読むと、未来にのばされた希望が見える気がする。
ライターは見た!著者の素顔
音楽ライター出身のブレイディさん。本書も音楽ネタ満載。息子さんのやっているバンドの曲のイントロがシャム69風だと感想を抱いたり、バンド名の案「グリーン・イディオット」と「ジェネレーションZ」にツッコミを入れたりするのが楽しい。
また、ブレイディさんが感極まった『フェアリーテール・オブ・ニューヨーク』は夢破れたアイルランド移民夫婦のののしりデュエットが味わい深い1曲。未聴の方はぜひこの機会にお聴きください。
(取材・文/ガンガーラ田津美)
●PROFILE●
ぶれいでぃ・みかこ 1965年、福岡県生まれ。1996年から英国ブライトン在住。英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。新潮ドキュメント賞受賞作『子どもたちの階級闘争―ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)ほか著書多数。