勉強を教えるはずが、息子に手を上げ…

 ある日のこと。宮里さんは息子さんの部屋に入り、背後で腕組みをして勉強を見ていました。息子さんは父親のプレッシャーで力が発揮できなかったのでしょうか? 宮里さんからすれば特に難しくもない問題を解けずにいました。宮里さんがいくらヒントを出しても反応は薄く……それもそのはず。息子さんが塾から帰宅するのは夜の10時で、そのあと夕飯抜きで問題を解くように言ったのです。疲れていた息子さんには無理だったのかもしれませんが、宮里さんにはそう映りませんでした。

「やる気があるのか! いい大学、いい会社に入りたいんだろ? 馬鹿なヤツと一緒にされてもいいのか? パパに恥をかかせるなよ!」

 勉強を教えるはずが、途中から説教を始めたのです。ひとりよがりな精神論に息子さんはあくびをするばかり。頭にきた宮里さんは息子さんの後ろ首を掴むと、息子さんの顔を学習机に叩きつけたのです。

「口で言っても分からないんだから当然ですよね。悪いのは息子です! そんなに痛いんだったら、ちゃんと勉強をやればいいだけですよ」

 と宮里さんは言いますが、息子さんが「痛い!」と大声を上げ、両手で顔を被い、騒ぎを聞きつけて部屋に来た美紀さんに泣きついたのは当然のことです。「何をやっているの!」と間に入ろうとした妻に対して「あいつの将来がかかっているんだ! 俺も必死なんだ!」と一蹴。

 怒った美紀さんは右手を上げようとしたのですが、いかんせん、鍛え上げられた宮里さんの腕力のほうが上です。宮里さんは美紀さんの右手を掴むと、そのまま下に振り下ろし、妻の身体はフローリングに叩きつけられたのです。とっくみあいの結果、美紀さんの右腕はミミズ腫れの状態に。

 宮里さんと美紀さんがやり合っている間、息子さんは自分のスマホから110番をしていたようで……到着した警察官は宮里さんの手を引き、警察署へ連行され、署内で事情を聞かれることになったのです。

妻と息子は家を出て行った

「警察は何も信じてくれませんでした!」と宮里さんは憤ります。美紀さんは夫が手を上げたのは今回が初めてではなく、過去に何度も繰り返してきたと証言したようなのです。

「正当防衛ですよ。妻はちょっとしたことでも頭に血が上るので、僕が静止したという感じで、あくまで僕自身を守るためですよ」と宮里さんは声を大にして言います。直近では「大した仕事もしていないくせに!」と美紀さんが喧嘩を売ってくるので、それに対して「誰のおかげでメシを食えているんだ!」と美紀さんの頬を叩いたとのこと。

 夫婦どちらの言い分が正しいのかはわかりませんが、宮里さんが警察官に「あいつの言うことはほとんど嘘ですよ」と弁明しても手遅れでした。なぜなら宮里さんいわく、警察官の頭のなかには「妻がDV被害者、夫が加害者」という構図ができ上がってしまったのだから。

 結局、宮里さんが帰宅すると妻と息子さんの姿はありませんでした。最低限の荷物を持って家を出て行ったのです。宮里さんの動揺は激しく、現実を受け入れられないまま、1週間が経過しました。宮里さんはようやく重い腰を上げ、息子さんが通っていた中学校へ電話をすると、すでに転校手続を済ませたとのこと。しかし、転校先の学校名を教えてくれませんでした。「俺は父親ですよ! 知る権利があるんじゃないですか?」と声を荒げます。