介護サービス開始までもうひと頑張り

 認定は、親の様子を確認するための訪問調査の約1か月後。介護を必要とする度合いに応じて「要支援」「要介護」のあわせて7段階で判定される。この介護度によって使える介護サービスや負担額が決まるのだ。

「要支援の場合は在宅で介護サービスを受けますが、要介護の場合は在宅介護にするか、それが難しければ施設入所も検討する必要があります。ケアマネジャーとよく相談しながら、介護される人に合ったサービスを選びましょう」

 ここまでが介護スタートまでの長い道のりだが、池田さんが言うには、「ここがゴールではなく、始まりです。介護は時間を追って変化し、同じ状況が長くは続きません。それを心に留め、柔軟に対応できる準備と覚悟をしておいてほしいですね」。

 遠く離れた親を思う気持ちだけでは介護は進まない。具体的な備えと初動が、介護をされる側、する側、どちらも助けることになるのだ。

介護の始まり方3パターン
1.突然パターン
 それまでは元気だったが、脳血管の病気や骨折などのケガが元の状態まで回復せず、介護が必要に。突然なので、本人も周りも戸惑いが大きい。
2.きっかけパターン
 配偶者や友人が亡くなったり、慣れない土地への引っ越しやショッキングな出来事をきっかけに気力や認知機能が衰えて介護が必要になることも。
3.徐々にパターン【要注意】
 加齢によって徐々に認知機能や体力、運動機能が低下し、家事や通院などができなくなるなど、独力では日常生活が困難になり介護へ。変化がゆっくりなので注意が必要。

老親が「何かおかしい…」と感じたら最初にすべき3ステップ

STEP1:親の様子を自分の目で確認

 親の「大丈夫」という言葉をうのみにせず、自分の目で親の言動、家の中をよく観察すること。

「この前できていたことができなくなっている」「いつもきれいだったトイレが汚い」など、離れて暮らしているからこそ、前回会ったときと違うことは気づきやすいはず。

 変化が見えたら、会ったり、話したりする頻度を増やし、介護スタートの機会をうかがいたい。もし病気やケガがあるなら、主治医から直接状態を聞くなどして、詳細の把握を。また、「介護」とはどんなものなのか、大枠でいいので知っておくこと。

STEP1:親の様子を自分の目で確認(イラスト/幸内あけみ)
STEP1:親の様子を自分の目で確認(イラスト/幸内あけみ)
【写真】75歳以上の3人に1人が要支援・要介護、現状が一目でわかるグラフ

STEP2:介護できる人は誰かを把握

 介護される側だけでなく、介護する側の態勢作りにも手をつけたい。兄弟姉妹で親の情報を共有し、介護が必要かどうかの共通認識を持っていれば、スタートもスムーズだ。

 実際に介護できる人は誰なのか、どんな役割分担でいくのかもあらかじめ話し合っておくこと。介護は、実際に行えない人でも、資金支援、情報収集や事業者との調整・連絡などの間接的支援はできる。

 ひとりに負担が集中しないよう、家族全体で「一緒に介護している」という実感を持てる態勢作りを。

STEP2:介護できる人は誰かを把握(イラスト/幸内あけみ)
STEP2:介護できる人は誰かを把握(イラスト/幸内あけみ)

STEP3:要介護・要支援認定の申請を

 日常生活が難しくなったら、いよいよ介護のスタート。家族だけで対応せず、一定の自己負担額でさまざまな介護サービスを受けられる介護保険制度を利用するのが基本。

 受けられるサービスや負担額は要介護度で決まるので、親の居住地の「地域包括支援センター」に相談し、要介護・要支援認定書を提出し申請する。

 手続き方法がわからなくても、地域包括支援センターが段取りを教えてくれ、場合によっては代行も。申請後は訪問調査などで要介護度が決まり、介護サービスの開始につながる。

STEP3:要介護・要支援認定の申請を(イラスト/幸内あけみ)
STEP3:要介護・要支援認定の申請を(イラスト/幸内あけみ)
池田直子さん●特定社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士で、社会保険労務士事務所あおぞらコンサルティング所長。
池田直子さん●特定社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士で、社会保険労務士事務所あおぞらコンサルティング所長。
教えてくれた人……池田直子さん●特定社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士で、社会保険労務士事務所あおぞらコンサルティング所長。

(取材・文/野沢恭恵 イラスト/幸内あけみ)