そして、起業を決意。30代でサプリメント通販会社を設立する。サプリブームのはしりで、ハワイでサプリメントの販売をスタート。これがMTコスメティクスの前身となった。しかし、起業は甘くない。早々に壁に突き当たる。

最初の5年間はずっと赤字だった

1年目、2000万円の赤字を出してしまって、どうやって会社を回していこうかと……。でもそれはまだ始まりでした

 会社が大きくなるにつれ、立ちはだかる壁も大きくなっていく。アメリカの従業員に集団訴訟を起こされたこともあった。弁護士と手を組み、法の穴を突く常套手段で、脇の甘い日本企業が狙われた形だ。

 通販サイトが運営停止に追い込まれ、売り上げがゼロになったこともある。それでも諦めないと決めたからには、投げ出すことはできない。スタッフの生活もかかっている。

一つひとつ真剣に向き合いました。小さいことでも、大きいことでも、逃げないで。不思議なことに、一生懸命考えていると、ちゃんと答えが出てくるんです

 サプリ会社設立の5年後、2005年にMTコスメティクスを設立。アメリカでドクターズコスメが台頭してきたころで、日本ではまだあまり注目されていなかったエイジングケアにいち早く目をつけた。

それでもやはり最初の5年間はずっと赤字でしたね。サプリ事業の資金を使って、なんとか回していた感じです

 商材は美容クリニック・エステティックサロン専売アイテムで、一軒一軒地道に開拓を続けた。休日返上で働き、仕事ひと筋で邁進してきた。

 起業20年を迎えた今、会社は大きく成長を遂げた。取引先はこれまで国内約6500件に拡大し、海外展開も果たしている。

何でも放り出していた私が、修羅場をいくつも乗り越えてこれた。修羅場も数をこなすと慣れてきて、メンタルも強くなる。どうすればいいかノウハウの引き出しが多くなる。どれだけ修羅場を越えたかということが、成長につながったと思っています

 再び大きな試練が訪れたのは、50歳のとき。胸のしこりに気づき、診察を受けた。結果は、乳がんのステージIIA

まさかという感じで、びっくりしました。もともと身体は丈夫で、病気知らず。ちょっとしこりが気になったけど、きっと問題ないだろう、大丈夫だってお墨付きをもらうために病院へ行ったので