父親の熱弁から英文科を目指すも……
ロックなステージ衣装を着ていた青年が、今では白衣を着ているのだから、人生何が起こるかわからない。どうして学問の世界を目指そうと思ったのか? 堀田に尋ねると、
「レッスンに通いながら、高校では機械科の生徒として勉強していました。『俺はロックンローラーになるんだ』って息巻いていたから、作業着を着ることに抵抗しながら(笑)。音楽で通用しないことがわかると、機械科を生かして工場へ就職するか、ほかの道を探さないといけなくなりました。父親に相談すると、『これからの時代は英語だ』と熱弁されて、大学の英文科を目指せと助言されました」
乗り気ではなかったが、いざ英語と向き合ってみると妙に水が合った。高校2年生の終わりから英語だけはぐんぐん成績が伸び、そのかいあって一般的な私立大学の英米文学科へ進学することが決まった。
「ところが、英米文学科ってシェークスピアをはじめとした英米文学を学ぶ学科なんですね。僕は英語を学べる場所だと思っていたのに、文学を学ばないといけない。素養も教養も、豊かな心も持ち合わせていないロックンローラーだった僕が文学なんて理解できるわけない。聞いてないよ!って(笑)」
次第に大学へ行く頻度は減り、バイト漬けの日々を送るように。肉体労働系のアルバイトをすることも少なくなく、ガテン系のバイト先の社長に気に入られすぎて、ブルドーザーの免許まで会社持ちで取らせてもらったという。
「ガテン系のバイトをしていると、外国人労働者がたくさんいた。僕は英語がそこそこ話せたから、彼らとのコミュニケーション係を任された。これが面白くて。誰かに褒められたり、感謝されたりすると、やる気が出て、パフォーマンスが上がる─これは科学的にも明らかになっているのですが、まさに身をもって体感した。もっと英語を学びたいという欲求が強まっていったんですね」
気持ちが上向きになると、それまで気がつかなかったものに気がつくようになる。あらためて大学の授業を受けてみると、“言語学”なる学問があることを知った。言葉が科学的分析の対象になるなど想像もしていなかった。
「講師の先生と駅まで一緒に帰った日があったのですが、話しているとアメリカから帰ってきたばかりで言語学を教えていると。僕はミーハーだから、『カッコいいな』と思って、3年生になったときに、そのままその先生のゼミ生として学ぶようになったんです」


















