“間違えて”名門大学に留学した!?

留学中のシカゴにて。留学生の中で最年少だった
留学中のシカゴにて。留学生の中で最年少だった
【写真】「アイドル並みのルックス!」高校1年生の頃の堀田さん

 小さな興味から扉を叩いた言語学だったが、学び始めると「面白すぎて!」と、堀田はまるで学生時代に戻ったかのように目を輝かす。

「高校時代に機械科だった僕の頭は、すっかり理系マインドになっていた。言語学って、言語を数学的に分析する学問なんですね。文系の学問のように思われるかもしれませんが、“現代言語学の父”と評されるノーム・チョムスキーによって、文系だけの世界から、経験科学としての理系の学問に変わった。

 僕にはそれが面白くて、もっと学びたいと思うようになった。本格的に学ぶならどこだろうと思っていろいろ探していると、シカゴ大学が言語学研究で有名らしい。申し込んでみたら合格の通知が届いたので、勢いに任せて留学することを決めたんです」

 シカゴ大学の言語学部は、アメリカで最古の、歴史ある言語学科の一つで、教授陣は世界的に有名な研究者たち。このことを堀田は“ぼんやり”としか認識していなかったという。加えて、

「修士を取るつもりで留学したのに、『シカゴ大学には博士課程しかない』ことが現地に行ってからわかった。1年間ほどで帰国して、英語の教員をやろう─僕はその程度の考えで留学したのですが、何から何までわかっていなかった。身から出た錆とはいえ、これは大変なことになったなと」

 シカゴへやってきた大学院生は、堀田を合わせ12人いた。日本からの学生は、東京大学をはじめ名門校の大学院を修了するほどの筋金入りばかり。「自分でも場違いだと思いました」。極度の緊張にさらされたのは言うまでもない。

「ものすごい不安ですよ。ですが、不安だと考えるから脳はさらに不安を後押しする。解釈を変えて、“不安だけどワクワクする”と捉え直すと、脳は『ワクワクしているんだな。だったらポジティブな信号を送ろう』と後押しする。脳って単純なんです。解釈を変えるだけで、人間は信じられないパワーを生み出すことができる」

 これを示すハーバード大学のブルックス教授の研究がある。300人の被験者を対象に、「採点つきカラオケ」「2分以上の人前でのスピーチ」「数学のテスト」といった課題を行い、その際、

 1. 「私は不安だ」

 2. 「私はワクワクしている」

 3. 「私は落ち着いている」

 4. 「私は怒っている」

 5. 「私は悲しい」

 この1~5を声に出してから行うグループに分けてみた。すると、2のグループは、カラオケでは正確性が上がり、スピーチでは説得力や能力、自信、持続性などの評価が向上。数学のテストでは最も好成績を残したそうだ。自分のストレス反応を、「楽しくなってきた」とポジティブに捉え直したことで、17〜22%ほど成績が良くなったというから、堀田が言うように“解釈次第”でパフォーマンスは変わるのである。