初のビジネス本が15万部超のヒットに

交際範囲は幅広い。シャンパンタワーを生み出したとして知られる伝説のホスト・流星さんと
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【写真】「アイドル並みのルックス!」高校1年生の頃の堀田さん

 言語学の博士号を取得した堀田は、2000年から立命館大学法学部の助教授として教壇に立つようになった。前出の原さんは、堀田の長所についてこう付言する。

「法学部に在籍しているということで、彼は法言語学の研究を始めます。それで再びカナダに留学する。他分野に手を伸ばすというのは、本当に大変なことなんです。ところが秀吾は、法律と言語学を結びつけ始めた。これは同業者として想定外だった」

 当時、法言語はここ日本では未開の分野だった。このことを堀田に質すと、「新しい環境で法学という面白い分野に出合ったので、掛け合わせたら面白そうだなって。それくらいの軽い気持ちです」と事もなげに言う。シカゴへの留学もそうだったが、この「とりあえずやってみる」という姿勢が堀田の最大の武器なのだろう。

「やってみてイヤだなと思ったらやめればいいだけですから。興味を持つことがいちばん大切。それがないと何も始まらない」

 ビジネス本を書き始めた理由も、まさにこの点にあるという。

「言語学や法言語の面白さを伝えたくて専門書を書いたのですが、一般の読者層には届かない。それで、より、かみ砕いたわかりやすい本をつくりたいと思ったんですね」

 できあがった一冊、五百田達成氏と共著で世に送り出した『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング)は、15万部を超えるヒット作となり、堀田の名は出版業界に知れわたることになる。

「その後もありがたいことにオファーをいただくものの、当時はコミュニケーションの本が今のように売れ筋ではなく、僕の本は鳴かず飛ばずが続いて。それで、言語学や法言語の枠を超えて……といっても、心や脳の仕組みとして研究する学問なので、まったく無関係というわけではないのですが、行動経済学や心理学などの論文も調べるようになった。

 幸いにも、僕は研究者なので世界各国の論文にアクセスできる環境がある。科学的根拠をもとに、元気になる方法やパフォーマンスを上げる習慣を伝える……“エビデンス職人”が誕生したというわけです(笑)」

 本人は冗談っぽく話すが、同じく研究者である原さんは「考えられない」と話す。

「自分の分野ではない論文を読んでファクトを集める。僕がそれをやれと言われたら、遠慮しますと言うでしょう(笑)。だけど、彼は損得ではなく、『やりたい』という気持ちで本をつくっている。それでいて、法言語の分野においても、論文を書けば博士号を取得できる段階にいる。本業である研究者としても一切手を抜いていない。普通じゃできないことをしている」(原さん)

 人気作家で、日本の法言語学の第一人者。なのに、まったく偉ぶった雰囲気がない。当の本人ですら、「何ででしょうね? 落ち着きがないだけじゃないですか?」と、まるで人ごとである。しばし、中空を見ていた堀田が思いついたように口を開く。

「僕の中高生時代がロックンローラーだったってお話ししたじゃないですか? 学校に呼び出されることも少なくなかったのですが、中学生時代の恩師である澤田先生は、どういうわけか、いつも僕に優しかった。その原体験が今もずっと大きな財産になっている。こういう人間になりたいなって」