年間約23億個を配達、受け取り方も多様化

 わずか11個だった宅急便は、ネットショッピングの普及などにより、現在では年間約23億個もの荷物を取り扱う巨大インフラへと成長した。それを支えているのが、物流システムだ。東京都大田区にある日本最大級の物流ターミナル「羽田クロノゲート」では、自動仕分けシステムによって1時間に最大4万8000個もの荷物を処理できる。

 また、すっかり定着した「置き配」を含む配送方法を直前まで変更できるEC事業者向け配送商品「EAZY」も、現場の気づきが出発点だった。

「玄関ドア前や宅配BOXなど対面だけでなく、置き配も含めた多様な受け取り方法を選べ、直前まで何度でも受け取り方法を変更できるサービスが提供できないかと、2018年からサービス開発に取り組んでいました」

 2020年のコロナ禍で非対面配送のニーズが急激に高まったが、以前からサービス開発を進めていたため、サービス開始時期を早めてすぐに対応ができたという。

ヤマト運輸、宅急便開始当初の取扱店の吊り下げ看板
ヤマト運輸、宅急便開始当初の取扱店の吊り下げ看板
【写真】「クロネコヤマト」の起源は“こどもの絵”だった!?

 全国の地域課題の解決にも奔走。過疎地域の課題に対して、ヤマト運輸の全国ネットワークを生かし、荷物を運ぶだけではなくプラスアルファの付加価値を提供しているのだ。

 例えば愛媛県では高齢化や人手不足が課題となっているみかん農家に代わって、みかんの集荷から選果場までの定期輸送、選別後のみかんの箱詰め・発送までを一括で担う。山形県でも2025年からJAの集荷場までのサクランボの輸送を同社が引き受け、生産者の負担を大幅に軽減している。

 また、ヤマト運輸といえば、災害時に真っ先に被災地に駆けつける姿も印象深い。直近では、2024年の能登半島地震で被災した営業所も、翌年秋には自然災害に強く、環境に配慮したサステナブルな拠点として再建を果たした。

「2016年の熊本地震の例ですが、避難所に支援物資をお届けするにあたり、現場のSDが『避難所の中まで荷物を持って入ると、自分だけが荷物を受け取ることでほかの方に引け目を感じさせてしまうかもしれない』と考え、お客さまに電話をかけて、避難所の外で手渡しをしたこともあったそうです」