親の介護には自身でも備えておきたいところ。その際、頭に入れておかなければならないのが、「いい介護」とは何かということだ。これまで3000件以上の介護の悩みに寄り添い、現在も年間約700件の介護相談を受けている川内さんは、その基準を明言する。

いい介護の条件とは

親子関係が良好であり続けることが『いい介護』の絶対条件です。介護のために無理や我慢を重ねると、関係性が崩れ、不幸な介護に転じかねません。ですから、まずは自分の生活を棚卸しし、仕事や趣味、友達付き合いなどを除いた時間がどれくらいあるかを検討。その余裕の範囲内でできる介護は何かを考えることが重要になります

「NPO法人となりのかいご」代表理事・川内潤さん
「NPO法人となりのかいご」代表理事・川内潤さん
【写真】不安に感じたら……「親の異変」チェックリスト

 もともと親と仲が悪く関係が良好でなかった場合はどうすればいいのか。

答えははっきりしています。“自分だけでやらない“という考えが大切です。なぜか。例えば親に虐待を受けて育った子がいたとします。その子が親を介護したらどうなると思いますか。老いて文句ばかり口にする親だったら、今度は自分が手を上げてしまいかねない。虐待の連鎖が生まれやすいんです

 では、仲良し親子であれば、介護になってもトラブルは少ないということ?

いいえ、一見うまくいきそうに見える関係でも注意が必要です。例えばシングルマザーの母親に女手ひとつで育てられた子がいたとします。

 母親に対する気持ちは人一倍強くなる場合も。要介護の親に対し、自分が全部やってあげなきゃと思うわけです。結果、自身の生活を犠牲にするほどの献身的な介護に明け暮れ、身体を壊すなどの可能性が出てきます

 目指すは良好な親子関係を維持できる「いい介護」。そのために「避けたい行動」があるという。第一は、介護を目的にした親との同居、転居。

「これまで別々に住んでいた親子が、介護をきっかけにひとつ屋根の下で暮らせば、親からあれこれ頼まれるなど生活の変化は避けられなくなります。そうしたことがストレスになり、感情的な衝突を招くのは時間の問題でしょう。

 介護のための転居も同様です。親の近くに移り住めば、事あるごとに呼びつけられたりして、結局は落ち着かない。ちなみに何でもかんでもやってあげるのは親の自力を失わせるため、逆に身体をどんどん弱らせるリスクがあることも知っておかなければなりません