人気アーティストのカバーで有名になった曲

 7位はカバーがきっかけで好きになった人が多かったチェッカーズの『ジュリアに傷心』。

1984年11月に発売されたチェッカーズ5枚目のシングル『ジュリアに傷心(ハートブレイク)』
1984年11月に発売されたチェッカーズ5枚目のシングル『ジュリアに傷心(ハートブレイク)』
【写真】松田聖子、中森明菜……ランクインしたアイドルたちの貴重な“昭和”写真

「テレビで藤井フミヤさんと北村匠海さんのデュエットを聴き、曲がカッコいいと思った」(18歳女性・東京都)

「Acid Black Cherryのカバーで知った」(19歳男性・宮城県)

 8位は近藤真彦の『ギンギラギンにさりげなく』。若いころがカッコよすぎると話題に。

1981年9月発売の近藤真彦の4作目のシングルレコード『ギンギラギンにさりげなく』
1981年9月発売の近藤真彦の4作目のシングルレコード『ギンギラギンにさりげなく』

「今見てもカッコいいし、時代の先駆け的存在だと思う」(22歳男性・静岡県)

 9位に入った薬師丸ひろ子の『セーラー服と機関銃』は長澤まさみや橋本環奈がカバーしヒット。40周年を記念してTikTok配信を行った小泉今日子も10位にランクイン。工藤静香は「Koki,さんのファンでお母さんの曲も聴くようになった」という声があがる。'80年代の歌謡曲が広まるのは、音楽メディアの多様化に関係があると天野さんは言う。

1981年11月に発売された薬師丸ひろ子のデビュー曲『セーラー服と機関銃』
1981年11月に発売された薬師丸ひろ子のデビュー曲『セーラー服と機関銃』

「動画サービスでのヒットはコレだけど、サブスクではコレ、このSNSでのヒットはコレなど、利用しているメディアによってヒット曲が違います。今流行っている音楽はコレ!というのがわかりにくい状況。

 紅白歌合戦の出場者ですら、最近は知る人ぞ知るといった人が多いのも同じ理由です。だからこそ、みんなが共通の話題にできる'80年代アイドルの曲が流行するという側面もあります

 さらに天野さんは他の年代に比べて'80年代のアイドルはカリスマ性があると指摘。

「今のアイドルはSNSでのコミュニケーションが不可欠。親しみやすく“共感”してファンになってもらいやすいですが、“憧れ”でファンを獲得するのは難しくなっています。

 SNSもなく、テレビのみの露出だった'80年代アイドルたちにはその“憧れ”が保たれているのでしょう」

 スーパーアイドルが誕生することは難しい時代ゆえに、マスな存在の'80年代アイドルは今後ももてはやされる!?

10代&20代が好きな「アイドルソング」ランキング

 インターネットアンケートサイト「Freeasy」にて9月26日、15歳以上30歳未満の男女1200人を対象に実施した。

〈1位〉松田聖子『赤いスイートピー』121票
〈2位〉松田聖子『青い珊瑚礁』82票
〈3位〉荻野目洋子『ダンシング・ヒーロー』68票
〈4位〉中森明菜『DESIRE-情熱-』57票
〈5位〉少年隊『仮面舞踏会』55票
〈6位〉中森明菜『少女A』43票
〈7位〉チェッカーズ『ジュリアに傷心』34票
〈8位〉近藤真彦『ギンギラギンにさりげなく』33票
〈9位〉薬師丸ひろ子『セーラー服と機関銃』31票
〈10位〉小泉今日子『なんてったってアイドル』25票
〈11位〉工藤静香『嵐の素顔』18票
〈12位〉チェッカーズ『ギザギザハートの子守唄』15票
〈13位〉中山美穂『世界中の誰よりきっと』10票
〈14位〉斉藤由貴『悲しみよこんにちは』9票
〈15位〉工藤静香『慟哭』7票
 

教えてくれたのは……

天野 彬
1986年生まれ。メディア研究者。一橋大学卒、東京大学大学院情報学環・学際情報学府修士課程修了。現在は電通メディアイノベーションラボ 主任研究員。SNSのマーケティング活用や若年層のトレンドについて発信する。

取材・文/諸橋久美