韓国ドラマにハマり64歳で語学留学
マルチな活躍を続けてきたうつみは、小説家としてもデビューしている。
「もともと文章を書くのが好きで小説を10冊ほど出しました。でも才能の限界を感じて、今は書いていないんです」
とはいえ、芸能界を舞台にした生々しいストーリーの作品には定評があり、ファンも多い。例えば『紐育マサオ』はエイズで亡くなった実在のヘアメイクアーティストが主人公。『晩鐘』は落ちぶれた女優がのし上がる話で、荻野目慶子が主演の昼ドラの原案にもなった。43歳のときには自らがメソッドを考案した美容本『カチンカチン体操』が100万部を超えるベストセラーとなり話題に。
「カチンカチン体操は今も続けています。寝る前に今日はウエストが1センチぐらい太ったなと思うと、体操をして元に戻すんです」
うつみの好奇心はとどまるところを知らず、64歳のときには韓国に語学留学をして、世間を驚かせた。きっかけは大ヒットドラマ『冬のソナタ』のヨン様(ペ・ヨンジュン)だ。
「友人にすすめられて『冬ソナ』を見たら、もうヨン様のとりこに(笑)。生まれて初めて芸能人に憧れました。ご本人に会えることがあれば、韓国語で思いを伝えたいと考えて、次の日に語学スクールの韓国語教室のレッスンを申し込み、さらに個人授業まで受けました」
しかし、「一刻も早く韓国語を身につけてヨン様に会いたい」と思いが募ったうつみは、日本を飛び出し、3か月の語学留学を決断した。
「すべてのレギュラー番組を降板したので、周りからは『そこまでする?』と驚かれました。でもキンキンは『まだ勉強するなんてえらいね』と応援して送り出してくれたんです。
ソウルの慶熙大学で午前中は学び、午後からは個人レッスンを受け、韓国語漬け生活を3か月。すると会話が理解できるまでになれました。60代になっても語学が習得できたことがうれしかったです」
その後、ヨン様と会う機会に恵まれ、韓国語で挨拶をするという夢を叶えることができた。時代とともに推しは変遷し、チャン・ドンゴン、イ・ビョンホン、コン・ユ、パク・ソジュンを経て、今はチョ・スンウにハマっている。9月にチョ・スンウの舞台『ハムレット』を見に韓国を訪れる予定だ。
さらに日本にも推しが2人いる。一人は演歌歌手の吉幾三、もう一人は落語家の春風亭一之輔だ。
「吉さんは歌がうまいだけでなく、舞台がすごく楽しくて。キンキンと相通じる温かさを感じます。春風亭一之輔さんは顔が父にそっくり。追っかけとして落語会に行って、毎回、一緒に写真を撮ってもらってます」
一之輔はうつみが自身のファンであることをどう思っているのだろうか。
「年は離れていますけど、変に持ち上げたりせず、いじったりして、ぞんざいに扱うところが気に入られているんですかねえ?『うるさいなあ』とか普通に言いますから(笑)。うつみさんも『もうちょっとファンを大切にしなさいよ』と言いながら帰っていきますが、そういうやりとりがラクなのかもしれません。毎回、寄席に来てくださるので最初はびっくりしましたが、終わった後にいつもメールで感想を送ってくださって。子どものころから見ていた方にそこまでしてもらえて、ありがたい限りです」
中目黒キンケロ・シアターにも落語家として登壇している一之輔。うつみは仕事の顔とプライベートの顔は違うのだろうか。
「まったく同じ。いつも自由で元気でテンション高いです。ちょっと変わったほうがいいんじゃないかと思うくらい(笑)。もう根っからおしゃべりが好きなんでしょうね。80を過ぎたら、誰しもくたびれてくるのが普通ですが、うつみさんは疲れを知らないからすごい。洋服も派手だし、憎めない方ですよね。35歳下の僕のほうが元気をもらっているくらいです」